音・旅・自然

Eagle Hiroさんと『古井戸におちたロバ』

「銀の鈴 ザ・フェア」三日目
「東京の空に歌おう〜トーニング・ワークショップ」
おかげさまで無事終了いたしました!

東京ももう初冬の空気でしたが
勇敢な?参加者のみなさんと 
新橋の屋上庭園で
じぶんのからだに愛と感謝の光と音を送っていきました。

演奏会とはまたひと味違う
きりりとした響きが
クリスタルボウルから参加者のみなさんへ
そして東京の空へと広がっていきました。

参加して下さったみなさま
そして
みまもってくれた草花たち
鳥たち
そして東京の空

ありがとうございました! *^^* !

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さて 
ワークショップの後
下北沢に Eagle Hiroさんのお店を訪ねました。

Hiroさんは縁あって1999年にアメリカ先住民の地に招かれて以来
10数年に渡り渡米し
ラコタ族の伝統儀式の中で
シャーマンとして指名を受け修行を積まれた方です。

現在はインディアン・ジュエリーを扱うお店を持ちながら
インディアン・フルートの奏者として
インディアンの叡智を伝える絵本の監修者 語り部
スエット・ロッジなどインディアンの儀式の主催者として活動されています。

今年9月の天河神社の復興音楽祭でご一緒させていただいた時に伺った
「導かれた人生」のお話がとても心に残っていて
上京時にお会いできればと思っていました。

ちょうどHiroさんから
スエット・ロッジのご案内をいただいたこともあって
山内さんに連れて行っていただきました。

お会いしてすぐ
昨年出版された
Hiroさんが監修で関わった一冊の絵本を手渡されました。

『古井戸に落ちたロバ』(再話 北山耕平 / 絵と文 oba)

インディアンのティーチングストーリー 古井戸に落ちたロバインディアンのティーチングストーリー 古井戸に落ちたロバ
(2011/02/07)
北山耕平、oba 他

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Hiroさんと山内さんの会話を片耳で聞きながら
パラパラとめくりはじめたその薄い小さな絵本に
私はいつのまにか すっかりひきこまれてしまいました。

(ここから先は内容の私個人の読み取りなので
 自分で本に出逢いたい方は飛ばして下さいね^^)

ある時 村の古い井戸の穴に
一頭の年老いたロバが落ちてしまいます。
飼い主のおじいさんや村の人たちが助けようとするけれど
どうにも助け出せない。

このままではこの古井戸に
今度は子どもたちが落ちてしまうということで
ロバがいる穴に土を落として
埋めてしまうことになりました。

でも深い井戸なので
一日では到底埋まらず
ひとびとは毎日土を放り続けました。

ロバは最初鳴いていたのですが
そのうち声が聞こえなくなりました。

おじいさんが
ロバはとうとう死んでしまったかと
井戸の中を見ると
ロバはしっかり生きていた。

なんとロバは自分に降り掛かる土を
その都度 払い落とし
踏み固め 踏み固めして
どんどん嵩が高くなってきた地面に踏ん張って
生き抜いていたんです。

おじいさんたちはびっくりして
今度は助けるために土を足し
やがてロバは穴から助け出されるんです。

そして
ロバは助け出されるのですが
そのまま振返りもせず
一人で歩み去っていきました

というお話でした。

短くてシンプルなお話なのだけれど
とても深い智慧に触れた気がしました。

お話の中で
穴の中のロバが
上から土が降ってくるのに
驚く場面があるんですね。

絵では ロバの目から涙がこぼれていました。
今まで家族同然にしていたおじいさんたちに
泥をかけられ
埋められていく・・・。

でも
次々に降ってくる泥の中で
ロバは気づくんですね
「自分の上には積もっていない」と。

そして身体に落ちてくる土を
そのたびにふるい落とし
踏み固めていくんです。

そしていつのまにか彼は
底あげされた地面に支えられ
日の光の見えるところまで
はい上がってくるのです。

私は この
「自分の上には積もっていない」という気づきの部分とラストに
とっても心を打たれました。

私たちの人生も同じようなもの。
生きていれば
さまざまな困難が降り掛かる。

どうしてこんな目に遭うのだろうと思うような
災厄 仕打ち
自然災害や経済社会のできごともそうでしょう。

でも
それにただ巻き込まれて 動揺するのでなく
状況から距離を置いて
冷静に観る。

ほんとうに絶体絶命なのか?
ほんとうに自分は巻き込まれているのか?

ただ落胆したり恨んだり嘆いたりするのでなく
冷静に起っていることを眺めたから
ロバは 
土は自分の上に積もってはいない、というあの気づきを得られたのだと思いました。

そしてラストは
腑に落ちず 何度か読み直し
帰ってからも考えていました。

最初は
一旦は自分を生き埋めにしようとしたおじいさんたちに
怒りを込めて決別したのか?と考えたのですが
どうもそうではない気がする

今 私が思うのは

ロバはもう ただのロバでは なくなったんだ ということです。

人に飼われ
言われるままに荷を負い
人の用を足すだけだったロバは

自分の身に降りかかる
非情なできごとに
自分の智慧と
決してあきらめない忍耐で対峙しつづけるうちに
人に飼われるロバでなく
自信に満ちた自分の人生の主人公になったのだと思うのです。

そして
自由に
自分の意志で
自分の人生に歩みだしていったのだと思います。

後ろを振り返ることもなく。

(おじいさんたちと共に暮らすことも
 ロバは選ぶことができたでしょう。
 でももう 新しい自分の旅に出かける方が
 わくわくしたのでしょう。)

これはあくまでも私の読みとりで
本を読まれたら
また違う解釈もあると思います。

でも
一冊の絵本が
こんなに深く
人生についていろいろな方向から考えさせてくれるのですよ

これこそ
名作の証だと思いました。

北山耕平さんによると これは  
生きるとはどういうことかを教えてくれる、インディアンに古から伝わるお話だそうです。

モニュメントバレー 朝

みなさんもよかったらぜひ読んでみてくださいね。
機会があったらぜひ感想を聴かせて下さい!

とっても長くなったので
このあと
突然はじまってしまったHiroさんとのセッションについては
また後ほど・・・。

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