この夏
大和町(たいわちょう)のあるお宅に
出前演奏に出かけてきました。
大和町は仙台から岩出山 中新田 鳴子などに向かう 街道すじの町で
町の西側には七つ森と呼ばれる美しい七つの山が連なり
西は隣の大郷町を越えれば松島に続く
自然に恵まれた土地です。
今回は
小学校時代の恩師の奥様に
演奏のプレゼントをしてほしいという
同級生の皆さんからのご依頼でした。
みんなが大好きだったその先生は
昨年 急逝されたのですが
ぜひお宅で 先生と奥様にきかせてあげてほしいということでした。
お宅に伺うと
御仏壇の隣に 在りし日の先生がアコーディオンを弾いて歌う
楽しそうな姿のお写真が飾られていました。
ご挨拶の後
クリスタルボウルを並べさせていただき
演奏会となりました。
同級生のみなさんの他
先生ご夫妻と親しい近所のみなさんも集まって
20人ちかいお客様でした。
とっぷりと暮れた夜空には
もう星がまたたき
屋外では気の早い虫の声もきこえていました。
笑ってる先生のお写真のそばで
先生がほんとうに隣で聴いているような気がしました。
演奏会のあと
冷たい麦茶をいただきながら
みなさんのお話を伺いました。
先生は歌や音楽が大好きで
教室でよく歌を歌ってくれ
先生の学級はいつも歌や音楽でいっぱいだったそうです。
楽譜も歌詞も使わないで
難しいことは何にもいわないで次々に歌うべ、と歌っていってね
俺らも先生と一緒になって歌ってね
それは楽しかったよ
同級生のみなさんは
もうすぐ五十歳代の半ばに近づこうという年配で
それぞれ仕事や家庭をもって
忙しく暮らす毎日
そのみなさんが
卒業したあとも
毎年夏には
あちらこちらから集まって
みんなで先生の顔を見にきていたそうです
そしてもちろん
先生は昔と変わらず 歌うべ といい
みんなで歌い
時にはアコーディオンやリコーダーでの合奏まで入ったそうです
そして
奥さんはいつも
楽しそうにそんなみんなの様子をみながら
一緒にいてくれたのだそうです
アコーディオンを胸に歌う
先生の笑顔から
みんなで歌うことの楽しさが
はじけるように伝わってきました
そして
こんなみなさんに声をかけていただいたことを
ほんとうに嬉しく思いました
実は大和町は
不肖 私にとって教員時代の初任地でした
この日のお客様の中に
当時お世話になった保護者のみなさまもおられて
演奏のあと
わざわざお声をかけてくださいました
情熱だけはあったけれど
できることが追いつかず
右往左往して
いっぱいご迷惑をかけただろうあの時代
支えてくださったみなさんに
こんな形で再会させていただけるなんて
先生と七つ森 そして音の神様のお導きが
胸に沁みた一夜でした