出逢い

アートミーツケア学会

今年も残すところあとわずかとなりましたね。

アーツミーツケア1

新月から今日まで あっという間でした。

10日は「癒しの花束」に二度目の参加でした。

いつものみなさんが来てくださって
精油の香りとクリスタルボウルの響きを
たっぷり味わっていただきまた。

11日は せんだいメディアテークで開かれた『アートミーツケア学会』に参加し
宮城教育大学の里見まり子先生、サウンドアーティストの中里広太さんと
オープニングで音を出させていただきました。

大きな風船が会場を飛ぶのを眺めながらクリスタルボウルも フユ~ン ホワ~ンと
宇宙の歓迎の響きを奏でていました^^

さて このアートミーツケア学会 
人間のいのち、ケアにおけるアートの役割を研究する場として
また アートの力を社会にいかしていくためのネットワークとして2006年に設立されたそうです。

最近は 医療や福祉の場、また地域コミュニティで
いろいろなかたちで アートがの力が活用されていますね。

この学会は、それぞれの場での実践や研究を交流しながら
アートの可能性や問題解決の方向を探ろうとする
とっても実践的で異色の学会です。

今回は「いのちの手ざわり」というテーマのもと
全国各地からから参加者のみなさんが集まり
二日間にわたって講演や分科会 プレゼンテーションやディスカッションが開かれました。

発達に遅れのある幼児の通園施設での造形プログラム
小児科病棟でのミュージアム活動
認知症高齢者とのアクションプラン・・・

時間が許せばみんな聴いてみたいと思うような発表ばかりでした。

アーツミーツケア2

初日の午前中は 大阪の舞台芸術プロデューサー志賀玲子さんの講演
「生きることを支えるアート」がありました。

身体が動かなくなっていく難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症した
友人の甲谷匡賛(こうたに・まさあき)さんの
入院生活支援 そして 在宅独居生活支援についてのお話でした。

医療や福祉の制度が中心かなと思いましたが
全く違って まさに「ひと」の話でした。

甲谷さんは志賀さんの古くからの友人で
指圧の治療院の先生でもありました。

絵も描けば ヨガや整体、舞台にも造詣の深い甲谷さんのところには
いつもいろいろな人たちが話を聞きにきていたそうです。

一人暮らしの甲谷さんが入院したことを知って
集まった友人たちの中から甲谷さん支援と学びの会が立ち上がり
仲間が交替で 身辺介助やマッサージ 散歩等の支援にあたりました。

甲谷さんは絵を描くことが好きで
入院してからもパソコンで絵を描き 文章を書いて発信し
支援の会が立ち上がった翌年には 支援を受けながら個展も開いたそうです。

しかし病状は進行し
発病から5年目には人工呼吸器の装着を考えなければならない状況を迎えました。

甲谷さんの夢と経済面 医療面すべてを考えあわせ
メンバーはなんと
甲谷さんの在宅独居を実現するという新たなプロジェクトを立ち上げました。

ダンサーや役者 プロヂューサーや 新聞記者 建築家など
それまで医療や福祉に何の知識もなかった素人のメンバーが
徹底的に医療や福祉制度の学習をし
財政面の課題解決のためホームヘルパーの講座にまで通い 資格をとったそうです。

今 甲谷さんは 京都の町家で 
8名のヘルパーたちが交替で24時間完全介護するなか 
在宅独居生活を送っています。

甲谷さんの住まいはヘルパーやボランティアさんの他
アートやダンス 医療や介護などにかかわる
さまざまな集まりのスペースにもなってきているのだそうです。  

甲谷さんは
病状が進行し 今は絵や文字で自己表現することが難しくなっていますが
毎日3時間~4時間の散歩に 
雨が降っても風が吹いても 酷暑でも 
雨に降られながら 風にあおられながらでも汗だくでも
必ずでかけられるのだそうです。 

そしてボランティアやヘルパーも
まるで修行をしているような甲谷さんと
ひたすら一緒に歩くのだそうです。

アーツミーツケア3

志賀さんは
最後に 甲谷さんと伴走する時間の中で
次第に「アート」という言葉の意味が変わってきたと
おっしゃっていました。

それは「アート」が
甲谷さんが初め生き甲斐としていた「絵画という表現活動」という枠を超えて
もっと大きな意味を持つようになったということだと思います。

絵が描けなくなってから
甲谷さんはやたらいろいろなものを買って帰る時期があったそうです
買い過ぎじゃないのと問われて
甲谷さんは
好きなものを集めた
この部屋自体が自分なんだと言ったそうです。

それを聞いて
人はどこまでもどこまでも表現する存在なんだなあと思いました。
そして
甲谷さんの存在自体 生き方自体がアートだと思いました。

創造的で 誰にも真似できないその人だけの表現!

人は自分を一生懸命生きているとき
それ自体がかけがえのない表現です

それが人の心を打ち
力を貸したくなるんじゃないでしょうか

人間同士
自分を十二分に生きようとするいのちに共鳴して
何かせずにいられなくなるんじゃないでしょうか

支えて支えられ
支えられて支える

そんなことを感じた心打たれる実践でした。

こんな講演を聴かせてくれた「アーツミーツケア学会」
これからも目が離せないなと思いました。

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