音・旅・自然

7/11 南三陸町

昨日 7月11日は
南三陸町に伺いました。

震災から四ヶ月目となる昨日
南三陸町民が地元の方々の避難所にもなっている「南三陸町ホテル観洋」で
亡くなられた方々
未だ帰らぬ方々へ思いを送る つどいが開かれていました。

観洋さん1

集会では はじめに会の主催者である NPO  ENVISI(エンビジ)の吉川由美さんから挨拶がありました。

吉川さんたちとこの南三陸町との出逢いは
昨年夏の「きりこプロジェクト」だったそうです。

「きりこ」とは、神社の宮司さんが作る白い切り紙で 
この地方では神棚の飾りとして下げられているそうです。

以前、高千穂や戸隠でお神楽を見た時
舞台の天井にしめ縄と一緒に「彫り物(えりもの)」と呼ばれる美しい切り紙細工が貼り渡されていましたが
同じような歴史をもつものだと思います。

プロジェクトでは 参加した若い女性たちが
地元の商店主やお年寄りたちに 店の歴史やこの土地の歴史を取材して歩き
それをきりこで表現していったそうです。

出来上がったきりこは650枚にものぼり
そのきりこは 由来の説明とともに 店の軒先などに飾りつけられ
「きりこ通り」まで生まれたのだそうです。
この活動には やがてこの町に中国や台湾から嫁いできたお嫁さんたちも加わり
きりこを介して外の人と内の人のみならず
同じ町内の人と人の間に 新たなつながりが生まれていったのだそうです。

(このプロジェクトの詳細はこちらを 「“生きる”博覧会」

プロジェクトで活動した場所は すべて 今回の津波で失われてしまいました。

震災後 吉川さんたちは
南三陸町に入って活動する一方
「きりこプロジェクト」の紹介を通して
南三陸町のひとびとへの支援にとりくんでいます。

今日の集会も
5月から 毎月11日に開いている黙祷集会で
みなさんの 海に向かって思いを送りたいという声を受けて
会場を決めたそうです。

地震が発生した14時46分
参加者全員が窓辺に移動し 海に向かって静かに黙祷しました。

津波があったことなど信じられないほど
青く穏やかに光る海を見つめながら
あちらこちらで涙を拭う姿が見られました。

その後
スイスから駆けつけてくださった平松典子さんらによる
弦楽四重奏が奏でられました。
どこまでも優しい音色が
遠くの海に広がっていきました。

観洋さん8

会の最後に
「こども夢花火実行委員会」の高橋さんから呼びかけがありました。

高橋さんは今
南三陸町の子どもたちに
夏の花火を見せてやりたいという一心で
実行委員会を立ち上げ準備を進めています。

観洋さん9

花火をあげる場所の確保自体が難しい 今の南三陸町ですが
インターネットでの高橋さんの呼びかけに
全国から賛同 支援が寄せられ
実現迄あと少しのところ迄 きているそうです。

高橋さんは
五十年前のチリ地震津波のあと
津波で大きな被害を受けた三陸の町で
みんなの心を励まそうと花火をあげたんだという話を
土地のおじいさんおばあさんから聞いて
ぜひ この夏 南三陸町の人々
特に 元気をなくしているこどもたちのために
花火をあげてやりたいと思いたったそうです。

観洋11

きりこ そして 夏の花火。

その土地の 四季折々の暮らしの中にあったものが
今 新たに人と人を結びつけ
奮い立たせるシンボルになっている。

日本人の生活の中にあったすばらしい文化や習俗が
特定の土地を越えて 多くの人々の心を動かし 
新しい支えあいのつながりを生み出しています。

言葉に尽くせない被害にうちのめされる一方で
震災後 
確かに新しい時代が始まっていることを感じます。

ENVISIさんたちは 8/11の追悼集会に向けて
きりこづくりに取り組んでいるそうです。

「南三陸町夢花火」は 8/13 開催予定です。

これからもできることで応援させていただきながら
この時代を共に歩いていきたいと思いました。

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集会の片付けが終わったあと
慰問演奏の時間になりました。

往年のすてきなロックンローラー、「ザ・ヴィーナス」さんに続き
私もクリスタルボウルを聴いていただきました。

観洋さん 園子1

夕暮れ時
海が茜色に染まる
静かなひとときでした。

演奏のあと
にこっとしながらそばに来られたお父さんが
ぽつんとおっしゃいました

「かあちゃん なくなって ひとりになってしまったんだ」

私にできることは ほんとうにささやかなことでしかありませんが
またきたいと思いました。

この日は
東京のシャルレの城谷さんとお仲間から送られた婦人下着を
避難所のみなさんに届けて帰ってきました。

いろいろお世話してくださった 観洋のスタッフのみなさん
お手伝いに来てくれたしーちゃん varadaさん
ありがとうございました!!

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