南相馬から戻った日
仙台で『ソ満国境15歳の夏』という映画を観ました。
原発事故で未曾有の被害を受け
期間もあても知らされないまま故郷を追われ
未だに多くの方が仮の宿りのままの暮らしを強いられている福島。
2012年の或る日
そんな福島の中学の放送部の生徒たちのもとに
中国のある村の長老から
津波と地震で失われた機材に変わる新しい放送機材と
中国での取材依頼が届きました。
依頼されたのは
第二次大戦末期の1945年夏
日本の敗色が濃厚となる中
ソ連と満州(日本が当時植民地にしていた中国北東部)の国境付近に
国と日本軍によって置き去りされた日本人中学生120名が
中国の貧しいある村の人々との出逢いを経ながら
自力で帰還するまでの物語でした。
夏休みの一週間
中国での取材を終えて帰ってきた中学生たちは
地元で除染ボランティアをしてくれている大人たちから
思いがけない話を聴いて
大人たちの想いを知るのでした。
原作は田原和夫氏の同名書籍で
映画化の着手は2009年だったそうです。
しかし 2011年に東日本大震災が起こり
満州に置き去りにされた中学生たちと福島の人々の姿が交錯する映画に
ふくらんでいったそうです。
戦争の中
何とか生きて家族のもとへ帰ろうとする中学生たちを助けてくれたのは
日本の国でも軍隊でもなく
家族を殺され
植民地として支配を受け
日本にたくさんの恨みを持つはずの中国の貧しい人々でした。
村人たちをたしなめ中学生の世話をした村長さんの話が心に残りました。
「昔、大声をあげながら川を流れて来る赤ん坊があった。
その声に気づいて村人たちが助けて世話をした。
その赤ん坊はやがて、満州族の開祖ヌルハチとなった。」
「誰かが泣いている時、その声をきいて、誰かが助ける。
それが人と人の新しい歴史のはじまりだ。」
映画の中に登場するさまざまな大人たちの姿を見ながら
大人のひとりとして
自分は若い世代のために何ができるだろう
何を伝えていけるのだろうと考えさせられた映画でした。
中学生たち、それぞれに存在感がありました。
田中泯さん、夏八木勲さん、味わい深かったです。
オフィシャルサイトはこちらです。
機会があったら
どうぞ 御家族で一緒に
観てみてくださいね。