音・旅・自然

8年目の311

8年目の3月11日。

今年は ぜひ紹介したいと思っていた
『16歳の語り部』 『女川一中生の句 あの日から』を
中学生たちと読みました。

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震災当時、東松島市に住む小学5年生だった
雁部くん、津田さん、相澤さんは
もう高校を卒業しました

震災当初
変わり果てた自分の家や町の姿を見て
他のこどもたちと同じように
何も言えなかった彼らは

想像を絶する被害の対応に必死の大人たちや
被害を受けた友達たちの姿を見て
さらに何も言えなくなりました

内側には
湧き上がる思いがあったのに
誰かに 何かにぶつけたい思いがあったのに
口にすることができず しまいこんでしまったのでした

しかし 中学校で
自分の思いを書いてみる時間があり

少しずつ
自分の体験を語ることを始めていきました

そして
やがて他県から来た同世代の生徒たちに
話をする語り部活動を始めるようになり

そんな語り部活動が
彼らを大きく変えていったことが
この本を読むとわかります

あの日何があったのか
どんな気持ちでそこにいたのか
今日までどんな日々を過ごしてきたのか

これからどんなふうに生きていきたいと思っているのか
今どんな夢を今抱いているのか

自分の中にあった感情や思いを
ありのままに書き
請われるままに語る

そんな語り部活動が
自分の感情を取り戻させ
彼らを大きく変えていったのでした

読んでいると
こどもの目に震災や大人たちの様子がどう映っていたのか
そんな中でこどもたちはどんな気持ちでいたのか
よくわかります。

語り部の3人は性格も個性も違いますが
自分の体験と 自分の感じた気持ちを
驚きも怒りも悲しみも後悔もありのままに見つめ
言葉にしています。

友人を失うという体験によって気づいた二度と帰らない「今」のかけがえのなさ
語ること、言葉にすることの責任など
彼らの思索の深さに驚かされ
教えられました。

そして、もう一冊 女川一中生の俳句集『あの日から』。

五七五に載せて
一人一人の家族への 友への
海への 町への想いがあふれ
何度読んでも胸がいっぱいになります。

聴かせてもらって
初めてわかることがあります

そして語る姿の全体から
伝わってくるものがあります。

東北や震災についても
現地を訪ねる だけでなく
話を聴くとか 本を読むとか
いろいろな方法でつながっていける気がします

私も 311 から得たものを
伝え 引き継いでいきたいと思いました。

追記
この若き語り部たち、そして女川一中の生徒たちが内側を表現していく道のりには、
本文にも登場する佐藤敏郎先生や校長先生たち、小野記者、
こどもたちのご家族や地域の大人の方たちの存在も欠かすことができません。

未曾有の状況に立ち向かう大人たちの後ろ姿
そんな状況の中で大人が自分たちに向けてくれるあたたかい視線や言葉
寄り添いや励まし。

それをこどもたちはちゃんと感じていて
起こっていることをしっかり見ていた たと思いました。

そんな意味で
登場する大人の方々の姿にも 心打たれる本でした。

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