週末は仙台で「日本ホリスティック医学協会」のシンポジウム
「こころ・からだ・いのちの再生」が開催され
ホリスティックな視点でひとと医療を考え 実践しておられる
四人の先生方の講演がありました。
初日は「帯津三敬病院」名誉院長の帯津良一先生と
仙台「朴澤耳鼻咽喉科」クリニック院長の朴澤孝治先生
二日目は札幌「響きの杜クリニック」の西谷雅史先生と
亘理町「鳥の海歯科医院」院長の上原忍先生の講演でした。
講演の中では
補完・統合医療に向かうようになったきっかけや
死生観 人間観 人生観
実際に取り入れている代替療法や病院の様子や
震災の体験と震災以後の思いなど
普段 なかなか伺うチャンスのないお話を
映像も交えたっぷり聴かせていただきました。
最初の帯津先生は
自らの西洋医学の病院にいち早く中国医学の視点や気功などの療法を取り入れ
患者さんのいのちを活かし輝かせる「ホリスティック医療」を探求してきた
日本の草分けの存在です。
帯津先生のお話は
いつもひとへの何とも言えない優しさといたわりに満ちていて
私はいつもじ〜んとしてしまいます。
帯津先生のお話を聴くのは二年ぶりでしたが
90分の持ち時間いっぱい
ベルグソンとダーウインから 司馬遼太郎と虚空まで
心惹かれた人物の思想や言葉との出逢いを織り込みながら
先生の考えるホリスティック医療を熱く語ってくださいました。
すばらしい言葉 内容がいっぱいあって
どれを紹介するか迷ってしまいますが
淀川長治さんが晩年に書かれた『生死半々』というエッセイ集のことにします。
タイトルの『生死半々』は
生の延長線上に死があるんじゃなくて
生きている人間の中には いつも 生きていることと死ぬこと
両方があるという意味だそうです。
本の中で淀川さんは特に歳をとってから
「いつも今日が最後の日だと思って生きてる」と書いているのだそうです。
だから 例えば大好きな映画についての講演の依頼があったら
最後の講演だと思って、命がけでしゃべる、と。
帯津先生はそれを読んでから
大好きな晩酌付きの夕食を
毎回「最後の晩餐」だと思っていただくようにしているそうです。
そうしたらまたその晩酌がおいしいこと!
それを楽しみに一日を過ごし
一日の最後に感謝の気持ちで最後の晩餐をいただくのだそうです^^
どんなことでも
自分のこころとたましいが
喜び ときめくことをする。
大切に味わう。
思う存分味わう。
「今日が最後の日だと思って生きる」
今日が最後だとしたら
私は自分の人生をどのように生ききり 終えたいのだろう。
自分はどんなからだと心の状態で
どこで どんなふうに この人生を終えたいだろう?
人生のしまい方を考えることが
逆に今を輝かせ
この時間の大切さを痛切に感じさせる気がしました。
帯津先生はこんなお話もしてくださいました。
人は たとえ 癒され (病を)治されても
やがては死を迎えるもの
最後の最後に
その人がその人の人生を
その人らしく全うするようにサポートするもの
それが医療である。
誰が誰を癒すとか治すということでなく
互いに寄り添い合う行為
それが医療である。
そういえば講演の中で
医療という「場」の治癒力というお話もありました。
治療者と患者さんの関係性が大事だということ
私も特別支援学校で重い障害を持った生徒さんたちと過ごしていた時
関係性の大切さと それが時に奇跡のような治癒力を発揮することを
目の当たりにしてきました。
先生が読んだドイツの医療従事者のための緩和ケアの本は
次のような三つの要素が全体を貫いて書かれていたそうです。
気づく ー わかる ー 守る
「気づく」は 相手の訴えに気づくということ
「わかる」は 原因を究明するということ
そして「守る」は その人の尊厳を守るということ
「治す」ではなく「守る」というところがすごい、と。
先生の学生時代
在学していた大学の医学部では
医学概論の先生がおもだか教授というフランス哲学の先生だったそうです。
おもだか教授はよく
「医者は哲学を身につけなくてはいけない」とおっしゃったそうですが
帯津先生のお話には なんというか 帯津先生の哲学があるなあと思いました。
続く「朴澤耳鼻咽喉科クリニック」の朴澤先生は
長年温めて来た統合医療センターを併設したクリニックを
2011年 仙台に開設した直後に大震災が起こったこと
その後震災による未曾有の状況の中で
不安やストレスから来る症状を抱えた
たくさんの患者さんたちが来院されたことを話してくださいました。
統合医療の重要性を感じるようになった総合病院の医師時代の体験
統合医療が既に大学の医学部で教えられている欧米の状況
センターで提供されているホメオパシーや鍼灸やヨーガ 呼吸法などの
特色についても改めて詳しく伺うことができました。
センターで先生が取り組んでおられる
治療者・施術者によるチーム医療は
今後の東北で欠かせない視点だと思いました。
二日目の「響きの杜クリニック」の西谷先生は
野口英世に憧れ 赤ひげを視ていたた子ども時代
スモン病訴訟など患者さんたちと行動した学生時代を経て
薬害のない漢方治療 やがて西式呼吸法と出逢い
天下司朗さんの「ホロトロピック・センター構想」との出逢いを経て
病気は気づきのメッセージ
生まれてから死ぬまでをケアする医療をと考え
統合医療のクリニックを開設されたそうです。
漢方 フラワーエッセンス 呼吸法 気功 ヨーガ 座禅断食など
クリニックでの医療や患者さんの心に残る事例も紹介していただきました。
患者さん自身が治療で何を最も主眼とするのか
寄り添い話し合いながら決めていくお話を聴いて
改めて患者の側で自分が何を優先させたいのか
(例えば一日でも長い延命なのか 自分の望む生活を味わえる状態なのか)
人生観 死生観を持つことが大切だと思いました。
またどんな代替医療も当たり外れがあり
毎日の呼吸や衣食住といった
毎日積み重ねることがらが一番大切というお話も
耳が痛いですが心に残りました。
そして最後の講演は「鳥の海歯科医院」の上原先生でした。
上原先生は荒浜にあったご自身の病院にいる時に
津波がやってくるという体験をされ
死を間近にした時の心情や
その時に起こった不思議なできごとを
話してくださいました。
そして子どもの頃から
人は死んだらどこにいくのかということに
興味があったこと
自然に起こった体外離脱体験と
「スピリチュアリズム」の探求のはじまりを
紹介してくださいました。
その後 ヘミシンクとモンロー研究所と出逢い
気診と出逢い
膨大な体外離脱体験の中で
死生観 人間観 身体観が大きく変わったそうです。
お話の中で紹介された先生の「スピリチュアリズムから得た十訓」は
それらを集約したとても印象深い言葉でした。
四人の先生方それぞれの
医学を志し 統合医療
そしてその先のホリスティック医療を志すようになった物語は
とても興味深く
人が生まれながらに持つ資質があることを感じ
やはり人は今世で果たす役目を決めて生まれてきているのかもしれないと思いました。
どの先生方も患者さんの症状を
肉体 こころ 精神 スピリチュアリティの全体から見
その治療方法の選択にあたっては
何がその方の人生を最も満足に満ちたものにするのか
患者さんに寄り添って考えていこうとする姿勢が共通しておられると思いました。
こんな先生方の存在を知り心強く想うと同時に
自分自身が自分の人生をどう生きたいのか
またどう終えていきたいのか
人生の主人公として自分でビジョンを描くことがますます大切だなと思いました。
先生方の信念と情熱が熱く伝わって来た講演会でした。
お待ちかねの安珠さんと朴澤先生の対談についてはまたのちほど・・・^^